整形外科
ルドルフどうぶつ病院では、骨折や関節の病気(整形外科疾患)の手術に力を入れております。
セカンドオピニオンも受け付けておりますので診断や治療のお悩み、疑問があればお気軽にご相談ください。
日常生活での動物の動きは歩いたり走ったりするだけでなく、ジャンプして跳びまわったりするような予想もしない動きをすることがあります。
整形外科疾患は動物の異変に気付きやすいと言われていますが、早期に発見することがとても重要になります。
整形外科に関係する部位は、骨・関節・靭帯・神経・筋肉など、主に運動器と呼ばれる箇所です。
ルドルフどうぶつ病院では整形外科に関する症例数も多く取扱っており、豊富な経験からベストな治療を選択できるような医療の提供を目指しております。
飼っている動物が少しでも「おかしい」と感じたら、すぐにお問い合わせください。
よくある症状
このような症状が見られたら、早めの受診をおすすめします。
- 歩き方がおかしい(足を引きずる)
- 歩く速度が遅い
- 散歩に行きたがらない
- 横になっている時が多い
- 元気がない
- 座り方がおかしい
- ジャンプをしない(階段などに上らない)
飼い主様の思い過ごしでも、全く問題ありません。
ルドルフどうぶつ病院では、飼い主様がおかしいと感じた動物の様子を写真や動画に撮ってもらうことを推奨しています。
スムーズな治療・検査を行うために、飼い主様にもご協力いただきながら進めています。
症例紹介
大腿骨 遠位成長板 骨折 (猫、10ヶ月、雌)
来院される前日の夜から右後ろ足を上げて、様子がおかしいとのことでした。
触診・レントゲン検査を行い、大腿骨(太ももの骨)成長板の骨折を確認しました。
手術が必要と判断し、ピン(キルシュナーワイヤー)を用いた方法を計画しました。
術前レントゲン写真
大腿骨の先端にある成長板のところで骨折しており、膝から下は大きくずれてしまっていました。
手術前に毛刈りを行ったところ、骨折部分の周囲に内出血を確認しました。
手術部位を消毒し、イソジンが入ったプラスチックドレープで覆って手術開始です。
皮膚を切開して骨折部分を露出すると、大腿骨が大腿部の内側の筋肉を貫通していたため、貫通した骨を慎重に元の位置まで戻す必要がありました。
もう一方の骨折片を露出し骨を確認したところ、大腿骨滑車のところで縦に半分に割れるように骨折していました。
骨折部位を圧着するようにスクリュー(ネジ)を設置する『ラグスクリュー』で縦に割れてしまった骨を固定しました。
ラグスクリューで固定した骨片を元の位置に整復し、骨折部位をキルシュナーワイヤー(ピン)を2本用いて固定しました。
手術後2週間は患肢の保護のため、柔らかなバンテージを巻いていました。
バンテージを外した後も大きな問題なく、元気に走ってくれています。
今後は骨折部位の癒合を定期的にレントゲンで確認し、インプラントの除去を検討しています。
術後レントゲン写真
手術後2週間は患肢の保護のため、柔らかなバンテージを巻いていました。
バンテージを外した後も大きな問題なく、元気に走ってくれています。
今後は骨折部位の癒合を定期的にレントゲンで確認し、インプラントの除去を検討しています。
左中足骨 骨折(猫、2歳、雌)
左足が腫れており、挙げているとのことで近隣の動物病院へ受診されました。
レントゲン検査で中足骨(足の甲の骨)の骨折と診断され、当院に紹介受診されました。
当院でもレントゲン検査を行ったところ、左第3・第4中足骨の骨折を確認しました。
主に体重を支える第3・第4中足骨の両方骨折であることや骨折した骨のズレ(変位)が大きいことから、手術による整復が必要であると判断し手術を行いました。
術前レントゲン写真
ずれた骨をキルシュナーワイヤー(ピン)を用いて整復固定を行いました。
足の甲の皮膚を切開し、骨までアプローチしました。
骨折から約2週間ほど経過していたため、仮骨が骨折周囲に増えていました。
骨折部分は仮骨でずれたまま少し固まっていました。
仮骨を外し骨折部分を露出しました。
骨の中央に空いている空洞(骨髄腔)にピンを入れていきます。
まず骨折部分から足先に向かってピンを挿入し、骨折部分を合わせた後、足先に出たピンを先程とは逆方向に進めていきます。(逆行性ピンニング)
第3、第4中手骨にそれぞれ1.2mmの太さのピンを挿入し整復固定しました。
手術後約2週間、外固定(ギブス)を行いました。
術後レントゲン写真
手術直後は外固定の影響もあり少し跛行が見られましたが、除去後は元気に着地して歩いてくれていたようです。
手術から約2ヶ月で入れていたピンを抜き治療は終了しました。
橈尺骨 骨折(ヨークシャーテリア、6歳4ヶ月、雌)
迷子になっているところを保護団体の方に保護され来院しました。
来院時には口からの出血と左前肢を挙上している状態でした。
口には大きな問題はなかったのですが、レントゲン検査にて左前肢の橈尺骨の骨折が確認されました。
応急処置として簡単な外固定を施し、念のため入院で経過観察をしていたところ無事に飼い主様が見つかりました。
飼い主様とのご相談で手術を行うこととなりました。
術前レントゲン写真
手術部位の毛刈り・消毒を行い、イソジンが入ったプラスチックドレープで覆い手術の準備を行います。
皮膚を切開して骨折部位を露出しました。
骨を元の位置に整復して固定用のプレートをあてがいます。
骨の形にプレートを曲げ、ピンと鉗子で仮固定します。
骨のズレやプレートの位置を確認しスクリュー(ネジ)を入れていきます。
スクリューを設置したあと、骨折部位に自家海綿骨移植を行いました。
自家海綿骨を移植することで骨折の治癒が促進されます。
今回は上腕骨(腕の骨)から海綿骨を採取し骨折部位に移植しました。縫合して手術は終了です。
術後レントゲン写真
手術後3日間は患肢の保護のため、柔らかなバンテージを巻いていました。
術後4日目にバンテージを外し退院しました。
退院後も大きな問題はなく元気に走ってくれています。
今後は骨折部位の癒合の状態を観察しながら、インプラントを除去していく予定です。
両前肢(橈骨・尺骨)骨折(トイ・プードル、1歳、雌)
お散歩中に溝に落ちてしまい、左右両方の前肢を挙げたままにしているとのことで来院されました。
レントゲン検査を行ったところ、左右両方の前肢の骨折を確認しました。
左右とも橈骨・尺骨の両方が骨折していました。
橈骨が少し斜めに折れている(短斜骨折である)ことや、骨折した骨のズレ(変位)が大きいことから、手術が必要と判断し、左右同時に手術を行いました。
術前レントゲン写真
左右とも骨折部分を整復したあと、プレートとスクリューを使用して固定を行いました。
骨の癒合を促進させるため、上腕骨から海綿骨を採取し骨折部分に移植しました。
術後レントゲン写真
手術後は大きな問題もなく元気に歩いてくれています。
今後は骨の癒合状態を確認しながら、インプラントを段階的に除去していく予定です。